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人と人との8割の接触削減 指針10のポイント(続)

人と人との8割の接触削減 指針10のポイント(続)

2020.5.3

新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言が発令されてから1ヶ月近くになり、明日、5月31日までの延長が正式決定されるとのことです。夕方に東京の新規感染者数の発表をきいては一喜一憂の毎日でした。今週初めには二桁台に減少し、「やればできるじゃない」と喜んだものの、その後の3桁復帰には本当に落胆しました。が、大きな目で見れば、減少していることは確かで、「やればできる」ことを確信しましょう。
そこで、前回に続いてポイントチェックです。

5 「診療は遠隔診療」
報道で、政府はオンライン受診ができる医療機関が全国で10,000カ所以上あると発表しているときき、ネットで調べてみました。すると、厚生労働省のホームページには、都道府県ごとに「電話や情報通信機器を用いて診療を実施する医療機関の調査票集計表」というものが作られていて、大きな表に小さな文字で、所在地、医療機関名、郵便番号、電話番号、ウェブサイトURL、診療科等々の情報が記載されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00014.html

いくらオンラインなら全国何処の医療機関でも受診可能とはいっても、オンライン診療は入口で、その後実際に、聴診器をあてたり検査しなければ診断はつけられないとなったら、遠隔地にはいけないのですから、やはり自宅近くで探す必要があります(「遠隔診療」というのは適切ではない気がします)。厚生労働省の表では、すぐに自宅近くの医療機関を見つけるのは大変です。と思ったところ、かゆいところに手が届くねぇといったホームページがありました。地図上に医療機関が表示されているのです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000056274.html

PCでもスマホでも可能なようです。すばらしい。

地図で自宅の場所に行き着くのは簡単です。すぐに自宅近くの医療機関が見つかりました。なんと、知っている診療所が地図上に載っているではありませんか。しかし、その診療所のマークをクリックをすると、オンライン診療の可否というところで、初診×、再診○とありました。それに、ウェブサイトのURLが載っていません。
厚生労働省のホームページの表題には「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について」と謳われているのですが、中身を見ると、どうやら厚生労働省のおっしゃる「オンライン診療」とは、電話だけの場合も含んでいるのです。皆さん、知っていらっしゃいましたか?
この厚生労働省のリストにはがっかりし、ビデオ画面と音声でオンライン診療を受けられる医療機関を探す方法を調べてみました。PCだといくつかホームページがあり、検索ができました。スマホだと検索アプリがいくつかありました。
ところで、例えばビデオ画面と音声でオンライン診療ができる場合で、どのような診療ができるでしょうか。

3月の初旬、ちょうど、ダイヤモンドプリンセス号から乗客が全員下船したばかりの頃、私は軽い咳が続くのを感じました。それも結構気管の奥の方から出てくる感じです。いつもの風邪なら、鼻水や喉の痛みから始まって、炎症が徐々に奥の方に進んでいき、3~4日もすると気管の奥のある程度のところで止まり、1週間くらいで改善するというパターンです。しかし、その時は、そのような経過ではなく、気がつくと奥からコホコホと咳が出ていたのでした。熱は何度測っても36度以下でした。当時の厚生労働省の呼びかけはこうでした。

○ 以下のいずれかに該当する方は、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
・ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方
(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方、風邪の症状、発熱(石川注:「かつ」なのか「または」なのか不明)が4日以上続いたらコールセンターに相談してください。

そこで、私は5日目か6日目ころに、県民サポートセンターに電話をしてみました。1週間近く咳が出る、いつもの風邪とパターンが違うと症状を話しました。それに対して、電話に出た女性の声は、発熱は? だるさは? 呼吸困難感は?と尋ねてきました。いずれもないですと答えると、「ふつうの風邪だと思いますから、かかりつけの医院に行ってください。」とあっさり言われて終わりでした。年齢も聞かれませんでした。
この対応から、風邪の症状が4日以上続くだけでは帰国者・接触者相談センターに取り次ぐ必要はないということで運用されていることがわかりました。
私は、無症状の新型コロナウイルス感染もあり得ると考え、直近の会議や裁判所の期日を休ませて頂き、かかりつけ医を受診しました。
受付で体温を測り、問診票に記入し、いざ受診。問診(症状経過、アレルギーの有無など)、聴診、喉の奥にライトを当てての観察などが行われました。肺の音はきれいで、喉にも炎症がなく、この季節に鼻が少しむずむずすることがあるというなら、花粉が喉の奥から気管にたれ込んでおきたアレルギーの可能性もあるとのことで、アレルギーの薬を2種類1週間分処方され、1週間後の再診を指示されました。薬の服用後改善してきたので、1週間後の再診で薬をもう少し継続してみることになり、同じ薬を2週間分処方されました。その後、血液検査でアレルギーの有無を調べたところ、花粉やハウスダストやダニなどのアレルギーは見つからず、結局、温度差アレルギーかもしれないということになりました。その後も同じ薬を処方された後、症状が改善したので、一旦終了となりました。この経過中、発熱その他の症状はありませんでした。

この経過を、もし、オンライン診療で行うとしたらどうなるでしょう。まず、初診時、オンラインの画面で医師に症状経過を説明し、医師からの質問に答えます。リアル受診なら、医師はおもむろに聴診器をあてて心臓や肺の音をききます(お医者さんが聴診器のあてる部分を手で包んで暖めてくれる。あれがいいですねぇ。)しかし、オンラインではそれができない。そうするときっと医師は、リアルの時よりも咳の状態や、呼吸時の状態などについて丁寧に問診をするでしょう。しかし、きかれたことに対して、どれだけ医学的に意味のある状態を自分で拾って、的確に表現できるか、まったく自信がありません。医学的な知識がなければ、どんな状態が尋ねられていることに対する答えになるのかわかりませんし、また、表現力も乏しいと思います。

パソコンのカメラに向かって、大きく口を開けてみても、ライトを適切にあてることは難しく、舌の奥を押し下げる道具(調べたら「舌圧子」)なしでは、喉の奥を見てもらうこともできません。そうなると、私の診察時の「肺の音はきれいで、喉にも炎症がなく」ということをオンライン診療で確認してもらうことはできないわけですね。今回の私の場合には、結局リアル受診してくださいということになったでしょう。

オンライン診療は、本来初診はリアル診療(対面診療)で、再診からオンラインでよいとされて認められているところ、新型コロナウイルス感染問題で、期間を限って初診も認められたものです。すでに慢性疾患で定期的に受診をして薬をもらってきたという場合にはすんなりできそうでしょうか。しかし、まったくの初めての症状がでての初診だと、すぐに薬の処方というのは厳しいかもしれませんね。まずは、だめもとで申し込んでみるという感じでしょうか。その場合でも、リアル診療になることも考えたうえで、申込先を検討することが大事だと思いました。
ということで、これは△かな?

石川順子