ブログ一覧

はじめての皮膚科受診 その3

2020.2.2

 背中にできものができて、はじめて皮膚科クリニックを訪れた。できものは、皮膚科ではありふれた(?)粉瘤(ふんりゅう)だった。女性の医師は、丁寧に3回も、できものの養生の仕方を説明してくれた。

診察は終わり、「ありがとうございました」と言って、2人の女性の顔を見る。医師はきりっとしてスマートな笑みを浮かべていた。制服の女性は「お大事に」と言ってくれた。
受付で呼ばれてアジスロマイシンという抗生物質の処方箋をもらい、お金を支払った。それは、翌日の尋問のために抗生物質の勉強をしていたときに見た中にあったものだった。1日1回、3日間飲めば1週間効くということは知らなかった。すごい。昔、単なる風邪の時にも抗生物質が出されていた時代があった。こどもの頃(って何十年前だ?)、1日3回8時間毎という服用で、親は律儀に8時間毎に、夜は眠っている私を起こして薬を飲ませたけれど、たぶんあれは抗生物質だったのだと思う。今、ウイルス性の風邪(上気道炎)に抗生物質を出す医師にはご用心。

次にドラッグストアの中にある薬局に寄り、処方されたアジスロマイシンを買った。薬剤師も同じ説明をしてくれた。そして、ドラッグストアでガーゼとメンディングテープを探した。メンディングテープはすぐに見つかったが、なんとガーゼがなかった。ガーゼという原始的な(?)ものではなく、よく血液や染み出す液を吸収し傷口にくっつきにくいという気を利かせたらしい薄い医療材料しかなかった。医師の顔が思い浮かんだ。自分でガーゼを分厚く折ってわざわざ私に見せてくれたのに、ゴメンナサイ。その医療材料を買って帰る。

事務所に戻って、さっそくアジスロマイシンの1回目を飲む。帰宅後、シャワーを浴びて、石けんを泡立てて手のひらに盛り、おそるおそる患部に泡を乗せる。うーっしみる。。。手のひらを、医師の手の動きと同じに傷口の上でくるくる回す。あの医師のてきぱきとした説明の声やスマートな笑みが思い浮かぶ。すてきな医師だったなぁ。3回も説明してくれて、ありがたかったなぁ。そう思うと石けんの刺激も和らいだ。

それから、アジスロマイシンを指示どおりに飲み、毎日石けんでせっせと患部を洗い、シャワーで流していたら、いつのまにか患部の中に埋まっていた粉瘤が洗い流されたらしく、中指をあてても瘤状のものに触れなくなった。1週間後、もう炎症も収まり瘤もなくなった。年明けに手術を受けに行く必要もなくなった。

弁護士の場合、受けた仕事が解決したときには、解決した内容等と報酬金のご説明してご了解をいただき、報酬金をいただくのでほとんど必ず面談する。しかし、医療の場合、風邪だの、胃腸炎だの、今回のような場合、処方された薬を飲んでよくなれば、患者は受診しない。もう、あの医師に会うこともないだろうと思うと、御礼のお手紙でも書いてみようかなとも考えたが、年末の忙しさにまぎれてタイミングを逸してしまった。

「ありがとうございました。」と1年も経ってブログに書くだけで、ごめんなんさい。医療のありがたみをあらためて感じた1週間だった。

受診翌日の尋問は、相棒が頑張ってくれた。その後いろいろあったが、おかげさまで昨年末和解で解決することができ、依頼者の方に喜んでいただけた。(了)

石川順子