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念願かなって鳥海山登山報告(その1)

2024.1.8

 37年前から、「いつかは鳥海山」(2236m)と憧れ続けてきたその山に、とうとう山小屋1泊で登りました! 東北地方の山の最高峰は尾瀬の燧ヶ岳(2356m、福島県、2010年に登頂)、その次に高いのが鳥海山(山形県・秋田県をまたぐ領域)です。この3年間、コロナでじっと我慢しながら、毎年、年賀状で、「鳥海山目指して筋トレしてます」と報告してきました。ようやく念願達成のご報告です。
 
 昨年8月の終わり、二男にこれが最後だからと拝み倒して同行を頼み、鳥海山登山に挑戦した。自宅から登山口までのアプローチは結構ある。前日に新潟まで上越新幹線とき。新潟駅で短い乗り換え時間に「えんがわサーモンいくら弁当」を買って、在来線特急いなほに乗り換え。しばらく日本海には珍しい(?)エメラルド色の海の輝きを楽しんだ後、車窓から憧れの鳥海山が見える。どんどん近づいてくる。「うーん、登ってくれ、登ってくれって言ってるじゃない。」そして酒田に到着。レンタカーで、山居倉庫、本間家旧本邸、本間美術館など市内観光後、鳥海山麓の海岸沿いにある温泉旅館に前泊。 

 翌早朝、旅館で作ってもらったおにぎり弁当を受け取って、レンタカーで出発。鉾立から象潟口コースで登山開始。お天気は、あの超猛暑でも曇りだったので助かった。
 前半の登山道は、階段状によく整備していただいていて登りやすかったが、低木の緑の景色があまり変わらず、足下に咲く高山植物の花を愛で、スマホで写真を撮りながら登る。シラネニンジン(白い小さな花が花火のように広がって咲く)、ハクサンフウロ(小さなピンクの5弁の花びら)、リンドウ、ウスユキソウ(エーデルワイスの仲間)、ノアザミ、イワギキョウ(いずれも石川撮影)などなど

   

 途中、賽の河原という「いかにも」という岩だらけの景色の場所を通り過ぎ、予定どおりコースタイムの1.5倍程度のペースで、鳥海湖の見える御浜小屋前に到着。お昼のお弁当をいただく。その頃には晴れてきて真っ青な空に白いもくもく雲。遠く下界の田畑、家々、道路、線路、そして海がかすかに見える。鳥海山は、日本海から東に立ち上がる独立峰のため、麓の遊佐町や日本海が見えるのだ。両手を拡げ、空気を思い切り吸い込んで深呼吸。二男が、背負ってきたコンロでお湯を沸かしてインスタント味噌汁を作ってくれる。おいしい。久しぶりの登山でここまで登ってこられて満足。これで帰っても十分楽しい登山の思い出になる。

 しかし、計画の目的地である御室(山頂直下の大物忌神社)はまだまだだ。がんばって行こうと休憩終了、出発。もう、ほとんど樹木がなく、左右に草原が広がる見晴らしのよいなだらかな尾根道を登ったり降りたりする。ここでしか見られないチョウカイアザミ(大型で下向きに咲き、赤紫色が特徴)があちこちに見られる。が、しだいに疲労がたまってくる。スマホの写真には、情けないチョウカイアザミの写真しかなく、それだけ体力に余裕がなかったことがあとになってわかる。

 七五三掛(しめかけ)という分岐点に着く。ここからが本番?。予定は右の結構急な岩の登り道(外輪山コース)、もう一方は、せっかくここまで登ったのに岩の下り道(千蛇谷コース)。すると、日焼けした男性の山岳ガイドさんが私と同じ世代くらいの賑やかな女性の団体ツアー客を連れて外輪山コースから降りてきた。女性たちはひとりずつ、ゆっくりと慎重に足下の岩の安全を確かめながら降りてくる。ガイドさんは申し訳なさそうに、「まだあと30人くらい来ますよ。」みんなの到着を待っていたらどれだけ時間がかかるだろうか。10分?15分?時間が気になる。
 私は、あつかましくもそのガイドさんに、両方のコースの様子を尋ねたところ、丁寧に教えてくれた。左の下り道を選んでも、目的地の御室には到着する。むしろコースタイムは短い。ここまでは、すでに事前に調査済み。下りの岩の道は気をつけてゆっくり降りた方がよい。下りは長くは続かず、雪渓までおりてそれを渡ったらずっと登り道で最後の登りが胸突き八丁の頑張りどころ。外輪山コースは険しい尾根道をアップダウンしながら登っていく、登りで行くには結構きつい、ということだった。
 私は、疲れを感じてきていたことと、暗くならないうちに到着することを考えて、左の下り道(千蛇谷コース)を行くことにした。 

 (続く)

弁護士 石川順子