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はじめての皮膚科受診 その2

2020.1.28

 背中にできものができて、はじめて皮膚科クリニックを訪れた。問診票を書いて受付に提出した。ほどなく名前を呼ばれる。意を決して立ち上がった。

廊下を15歩ほど進んで診察室に入る。
コンピュータのモニターとキーボードが置かれた机の前の椅子に腰掛けている制服の女性と、診察室のまん中に立っている白衣の女性がいる。白衣の女性は、30歳代前半くらい。小柄で、小顔、ショートカット、ナチュラルメーク。
挨拶して丸椅子に勧められる。白衣の女性から「見せて下さいね」と言われて背中を向け、患部を診てもらう。白衣の女性が患部の様子、大きさ、色、形などをてきぱきと言葉に出して説明する。それを机の制服の女性がキーボードをカシャカシャ押して画面上の電子カルテに入力し、立ち上がって自身でも私の患部を見ている。白衣の女性は医師、制服の女性は医療クラークだろう。医師は画面やキーボードばかり見て患者を診ていないという最近よくある現象が、そこにはなかった。

その日の朝、患部から血液と膿が混じったような液が出ていたのでバンドエイドを貼っていたのだが、と話すと、医師は、
「今、傷は乾いています。でも、また液が染み出してくることもあります。大事なのは傷を乾燥させることです。バンドエイドではなく、ガーゼを何枚も重ねて水分を吸い取れるようにしてください。乾燥していればバンドエイドなどを貼る必要はありません。お風呂は、傷が乾燥していれば浴槽に入ってもかまいませんが、液が出るような状態の時はシャワーだけにして下さい。そして、石けんで傷の部分をよくなでて洗って(となでる仕草を自分で示しながら)、シャワーで流して、清潔にして下さい。」
と滑舌の明瞭な話し方で説明し、ガーゼを分厚く折りたたんで私に見せてから後患部にあて、「こういうテープで」とこれまた私に見せた後、メンディングテープで留めた。消毒したり、軟膏を塗るということはなかった。

えーっ、「セッケン デ アラウノ? ダッテ、シミルジャナイ?」と頭の中で叫んだが、言葉にはだせなかった。
医師の方に向き直り、さらに説明をきいた。
医師 「炎症を起こしていますね。」
私  「このできものはなんですか?」
医師 「粉瘤(ふんりゅう)です。これは手術で取り除くことになりますけれど、今は炎症があるので手術できません。炎症が収まってからになるので、年が明けてからですね。」
私  「前も、別のところに同じようなものができたことがあるんですけど、いつのまにか平らになっちゃいましたが。」(と手術に抵抗する心が言わせる)
医師 「粉瘤は、放置していてなくなることはありません。前にできたものは別のものでしょう。まずは、抗生物質で炎症を鎮めます。3日間毎日2錠ずつ飲むと1週間効果が続きます。抗生物質でお腹がゆるくなったり具合が悪くなったことはありますか。」
私  「ありません」
医師 「1週間後に炎症がおさまっていなかったら来て下さい。他に気になることがあるときも来て下さいね。」

 医師は、傷の乾燥、液が出るときは分厚いガーゼを使うこと、お風呂の注意、傷口を石けんで丁寧に洗いシャワーで流すこと、の話を、診察室にいるうちに3回は繰り返してくれた。よほど物おぼえが悪そうな顔に見えたのか、問診票に書いたサプリメントのせいなのかはわからなかった。
(つづく)

石川順子