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「虎に翼」によせて(その2)                弁護士 石川順子

「虎に翼」によせて(その2)                弁護士 石川順子

2024.4.11

昨日に引き続き、本日の「虎に翼」第9回について述べてみたい(ネタバレあり)。

女子学生たちは、それぞれ妻を勝たせたいという気持ちはあるものの、妻の財産は夫が管理すると民法の条文で書いてあるから勝てそうもない、とあきらめ”スン”モード。

寅子は賢明に六法全書を引き、民事訴訟法185条「裁判所は判決をなすに当たり、そのなしたる口頭弁論の全趣旨の証拠調べの結果を斟酌し、自由なる心証により事実上の主張を真実と認むべきか否かを判断す」を見つけ、裁判官の自由な心証に託したい思いを語る。これに対し、山田よね(土居志央梨)は「だからといって法そのものを覆すわけにはいかない」と悔しい思いを吐露する。女子学生たちの議論を穂高教授は静かに見守っている。

寅子の提案で、女子学生たちは穂高教授とともに課外授業として裁判所の判決をききに行くことになる。判決の前に行われた弁論で、新たな事実がわかった。夫は半年以上も前から別の女性のところにころがりこみ、妻には生活費を渡さず、妻は近所からの裁縫の仕事をもらいうけて何とか生活をしてきたこと、妻が返還を求めているものは、着物、鏡台、茶ダンスだけであることが妻の弁護士から述べられていた。

裁判官は休廷後判決することを告げていったん退廷した。

法廷の後ろにある控室での裁判官の表情の変化がなかなかであった。最初は眉を寄せて悩ましい表情。それがふと、何かに気づいたようなものに変わった。

ふたたび法廷に戻った裁判官は、判決文を手にして「主文」と言った。表情は??? つづく。

ここで、思い出すのは、書生優三が何度か口にしていた「法律とは、自分なりの解釈を得ていくもの、といいますか。。。」という台詞である。裁判官は、自分なりの解釈を得て判決を下すのだろうか。

明日はいよいよ判決の主文が告げられる。理由まで述べてほしい。とても楽しみである。

ちなみに、私の経験上では、近時の民事事件の場合、例外はあるものの、最終弁論と同じ日に判決が言い渡されることはなく、1か月から1か月半後くらい、大きな事件では2~3か月後に期日が決められて判決がだされるのが一般的である。裁判を経験された方、ご自分の事件の判決が即日に出なかったとしても、何かおかしなことがあったわけではありません。

(了)
弁護士 石川順子